「ディズニーよりうめぇって思いましたもん！」超ビック、鳥山明×尾田栄一郎対談がおもしろい。
先日、ONE PIECEの作者である尾田栄一郎さんと、ジフリの名物プロデューサー鈴木敏夫のラジオ対談の書き起こしを紹介しましたが、今度は、ニコニコ動画で「鳥山明×尾田栄一郎」の超ビック対談の動画を発見しました。この対談は「ONE PIECE 尾田栄一郎画集 COLOR WALK 1」に収録されているもの。
・尾田っちの初生声キタ！「鈴木敏夫×尾田栄一郎」ワンピースの作者がラジオで語った７１分。 - ヨーグルトの蓋のウラのびみ
ラジオでは終始（時代劇トーーク）で盛り上がっていた尾田っちですが、子供の頃から憧れていた鳥山明さんとの対談とあって、絵の構図やらドラゴンボールのマニアック話など、漫画話全開での対談となっております。
ディズニーよりうめぇって思いましたもん！
それではまず、尾田先生の、鳥山先生についての思いを教えてください。
尾田 そりゃもう神様ですね。次元が違います。とにかく絵が上手過ぎますね。
鳥山 なーんか俺、居心地が悪いんだけど。（爆笑）
尾田 実は僕、「アラレちゃん」全然読んでなかったんですよ。鳥山先生の漫画との出会いは「ドラゴンボール」の２話目だったんですけど、みて一目ぼれしましたね。「上手すぎ」って。僕、ディズニーが大好きだったんですけど、「ディズニーよりうめぇ！」って思いましたもん。天下一武道会でランファンっていたの覚えます？（※天下一武道会に登場した女格闘家）
鳥山 おー、いたいた！
（中略）
尾田 ランファンが服、脱いだじゃないですか。あの時のワキがすっごい上手かったんですよ。僕、こんなにちゃんとワキを書く人、はじめてだと思いましたもん。ワキばっかりその時書いてましたよね、あの頃の僕は。
尾田 あと、白桃桃（タオパイパイ）の手。
鳥山 タオパイパイ…。ちょっとビミョーなキャラになってきたぞ。
尾田 えーっ、白桃桃なんて、めちゃめちゃ有名なキャラじゃないですかぁ。
鳥山 おさげのヤツ？
尾田 そうそう、殺し屋ですよ。柱飛ばし乗っていくやつですよ。
鳥山 あー、書いた書いた。
尾田 アイツの構えた時の手が、すっごい上手かったんですよ。そのときはまた、手ばっかり書いてましたから、それが「ドラゴンボール」の２大衝撃ですよ、ぼくの。手とワキが。
メカデザインは推進力とか一応考えてるよ。
尾田 そうそう、鳥山先生のメカイラストは本当に凄いですよね。
鳥山 あれもでっち上げなんだけどね、ほとんど。でも、推進力は何で、燃料タンクはどこについているとか、一応自分の頭の中だけの設計図みたいなものはあるよね。
（中略）
鳥山 理論そのものはでたらめなんだけど、ヘンテコな形をしたメカとかでも「どう乗り込もう」とか、その辺だけは考えるよ。
現実にあるものを書いちゃうと、大変だよね。
ーこれまで数多くのイラストを描いてきたお２人ですが「これは苦労した」というイラストはありますか？
鳥山 あのね、なまじ実際にある戦車とか車とかを書いちゃうと大変だな、と思ったね。まちがっちゃいけないから。考えるのが面倒だと思ってついつい実在のものを描いちゃうんだけど、かえって大変だよね。
尾田 だから、現在ものを描いてる人は大変だと思う。
鳥山 思う思う。
（中略）
鳥山 尾田くんは、苦労したイラストは？
尾田 僕は描いたら全部気に入るから。イラスト描くの、楽しいし。締め切りギリギリまで描いてて編集部の人にもっていかれちやったら「まだ本当は手放したくない」って思うもの。
鳥山 えらい！ここが俺との決定的なちがいだなー。そうだったら、楽しいだろうな。
悪いやつがよくなるのは王道だけど、気持ちいい
ーそれではここからキャラのお話を。それぞれ、ご自身の漫画のお気に入りキャラを教えて頂けますか？
鳥山 ぼくはピッコロかな。「こいつ怖い顔してカッコイイじゃん」って！はじめて自分の漫画で思ったかな。悪いヤツがよくなるってのは王道なんだけど、やっぱり描いてて気持ちいいよな！
（中略）
鳥山 尾田くんが自分の漫画で好きなキャラは？
尾田 ぼくは…ルフィはもちろん好きですよ。いちばん気に入ってるのはガイモンさん。あの発想はなかなか超えられないですよ。２０年、宝箱にはまり続けた男。あの設定はわれながらすごいと思う。
鳥山 あの設定はどうやって思いついたの？
尾田 最初は樽だったんですけど。どいう経緯かは今でもさっぱり。（笑
鳥山 尾田くんはキャラをつくるとき、設定を重視するほう？
尾田 いゃ、ノリですね。ノリは大切にします。まず新しいキャラを、落書きこたいにして書くじゃないですか。そしたら、必ずセリフを書くんですよ、意識しなくても自然に。そいつが最初に喋った言葉は、あとあとまで活きますね、そいつのキャラに。
鳥山 あー、それ、わかるなー。
尾田 「こいつはこういう事を喋りそう！」というところから、キャラが立って行くんです。鳥山 わかるわかる。お互い意気込みは違うけど、発想は似てるよね。
尾田 ホントですか（大喜び）！よ、よかったー。
鳥山 あの読者がめちゃめちゃ喜ぶような発想は自然にでてくるの？それとも、読者に合わせようと思ってるの？
尾田 両方です。
鳥山 例えばウケを狙わずに描いたとしたら、やっぱり変わってくる？
尾田 変わるかもしれませんけど、でも、ぼくは皆に喜んで貰えること自体が好きですから。
鳥山 うん、その辺も似てるなー。
尾田 すっごい小さい頃から漫画家になると決めていたから、読者時代から「漫画家になったらこういうのを描こう」って思ってたんですよ。そのストックがたくさんあって、読者としてのデータが、ぼくの中に入ってるんです。だから、こういうのを描いたら嬉しいだろうなぁっていうのはあります。残念ながら、今の僕の感覚は少年と一緒ということはないですけど、「昔の僕が読んだら嬉しいだろうなぁ」って思いながら描いてます。
ールフィを作る時に考えたことは？
尾田 男気ですね。ドラゴンボールで子供が喜びそうなことは全部やっちゃってるんですよ。（笑）それにぶつからないための主軸として。
（中略）
尾田 男の世界ってみんな照れますけど、絶対みんな好きだと思います。
鳥山 ぼくもね、描いてて「くせぇー」って思うんだけど。
尾田 でも喜んでくれるから。
鳥山 ついついそうなっちゃいのすよね。
尾田っちの本当に鳥山先生の事が好きなんですねー。鈴木敏夫さんとの対談では「絵柄は子供の頃に無理やり作った」なんて言ってましたが、鳥山先生の影響を受けているのは間違いなし。尾田先生が鳥山先生の作品を好きになったのは、ドラゴンボールの２話がジャンプに連載されていたのは１９８４年。尾田っちは１９７５年生まれなので、もしジャンプで読んだのなら当時は９歳です。９歳で鳥山明が描いた女性のワキの描写に驚いて真似していたらとしたら、これは天才としか言えませんね。
ドラゴンボールは鳥山先生のたっての希望で連載が終わったと聞きますが、その理由も何となくわかった気もします。（笑
ONE PIECE 巻57 (ジャンプコミックス)posted with amazlet at 10.03.20
白ヒゲ戦争序盤とは思えないスピード感
おもしろかったですよ?