おちまさとの「企画の教科書」、企画が愛されるための5箇条。

おちまさとさんと言えば、「学校へ行こう!」や「内村プロデュース」といった数々の人気番組を手掛けた企画屋さんと説明すればいいのでしょうか。そんなおちさんが出版された、「企画の教科書」まさにタイトルまんまんの本なのですが、2003年に出版された本にも関わらずその企画術は普遍、2011年の今となっても十分に使うことができるものばかりなのです。

今回はそんなおちさんの「企画の教科書」の中から「企画が愛されるための5箇条」という部分に注目して紹介してみたいと思います。

1.特性

まず第一に、企画が愛されるためには勝負する業種の特性を見極めて、その業界に合った企画を考えるという事が大切になります。

これから立案する企画には、その立脚している「世界」があります。簡単に「業界」と言ってもいいでしょう。まず、その世界の特性を見極めることが大事です。

本書では食玩を例に「特性」が紹介されていますが、ここには「オマケ目当ての購買層」に訴えかける、という「特性」があったと考えられます。

2.振り幅

物語で感動する裏側には、「振り幅」が存在しているとおちさんは説明します。振り幅とは、状況変化の大きさの度合いの事を言うそうです。

そんな振り幅効果を大いに利用するためには、最初の地点をマイナスに設定することが効果的です。物語のハッピーエンドが+100だと仮定すれば、ゼロ地点から出発した主人公が、物語で最後に得られる「振り幅」は100です。しかし、主人公の最初の地点が、ハンディキャップを負っているなどの理由で−100であったならば、エンディングで得られる数値との格差は200となります。この「振り幅」の大きさこそ、物語を面白く見せるのです。

例えば、ドラえもんのび太君などがその好例なのではないでしょうか。運動オンチで勉強もダメなのび太君がドラえもんの道具を使うことで一気にスーパーマンに変身してしまう。この巧みな振り幅がドラえもんが長年愛される秘訣なのかもしれません。

3.普遍性

ベストセラーやメガヒットの裏には必ず「普遍性」があるとおちさんは説明します。誰もが愛着と興味を持って見ることができるモノ、シンプルだけど飽きないもの。そうった「普遍性」を持つことで企画はよりいいものになる。

では、どうすればそんな「普遍性」を企画に組み込むことができるのでしょうか。簡単に言ってしまえば、1000年後の西暦3003年を想像し、そのときにも残っているモノが「普遍性」のあるものです。

西暦3003年というのはやや大げさですが、「普遍性」というのは音楽を外で聴く習慣をソニーウォークマンが作ったように、誰もがする事を別の形で表現したものと言い換える事ができるのかもしれません。

4.やられた感

消費者はいい意味で裏切れたいと思っています。何か商品を買った時におお!となるような企画。それは先の例で紹介した食玩のように、ペットボトルにスターウォーズのボトルキャップがおまけで付いてくるような驚きです。

簡単にいえば、受けてが予想できる事柄、ポイントを全て書き出して、それを全部捨てるということです。その先にある「最後の一つの結論・ポイント」を何とか見つけるのです。それが「やられた感」に繋がるのです。

5.時流

現在流通しているモノには、必ず「時流」というものが入っています。

「時流」とは、それを受け止めた人にとっては、他人と一緒に「今」を過ごしている安心感を感じさせるモノです。同時代性と言い換えてもいいのかもしれません。この「時流」がないと、「それ、今じゃななくてもいいんじゃない?」と切り返されてしまうような、パンチの欠ける、のっぺりした企画となってしまいます。

とまぁ以上がおちさんが説明する企画が愛されるための5箇条となります。この本では他にも「愛されるためのダメ押し要素」や「マーケティングの方法」「企画会議で成功する方法」など、まさに「企画の教科書」に相応しいような記述が沢山あります。全部を書いてしまうと記事が2つも3つもになってしまうので今回はここで終わりにしますが、気になった方は是非、本書を手にとってご覧頂きたいと思います。