藤子・F・不二雄が20年前に予想した「働かなくてもすむ世界」。 〜ドラえもん劇場版「のび太とブリキの迷宮」〜

もっとコンピュータによる自動化が進めば、我々は働かなくていいのか。食糧生産から供給までコンピュータが自動でやってくれるようになればもう大半の国民が働かなくていいと思う。
どこまで技術革新が進んだら働かなくてすむのか

未来がどうなるか・・それは神のみぞ知る世界だけど、実は、この未来をそっくりの未来を描いた作品があるのです。それは、1992年公開のドラえもん映画『ドラえもん のび太とブリキの迷宮』。もう20年近く前の作品になりますが、技術が進歩して人間が働かなくなった星「チャモチャ星」を舞台に、人を排除いるブリキ軍と、働く必要が無が無くなり自ら歩く事もできない人間、F先生の機械と技術進歩に警鐘を鳴らすメッセージが込められた作品です。

春休み、のび太のパパはスキーと海水浴が同時に楽しめるという「ブリキンホテル」に部屋を予約する。のび太たちは大喜びするが、後でパパの夢だと知り落胆する。

ところが、家に届いたトランクから開いた門を抜けて行ってみれば、そこはブリキのおもちゃの島に建つブリキのホテル。ブリキンホテルは本当にあったのである。島で楽しく遊んでいた折、ドラえもんが行方不明になる。探しに行ったのび太たちの眼前で、謎のロケットがドラえもんを連れ去ってしまう。

そしてのび太たちの前にブリキンホテルの主(主代理)である少年サピオが現れる。サピオはチャモチャ星から来た宇宙人で、ドラえもんを連れ去ったのはサピオを追ってきたチャモチャ星のロボット軍隊だという。のび太たちはドラえもんを助けるため、チャモチャ星へ向かうことを決意。チャモチャ星を支配する独裁者ナポギストラーに挑む。

ドラえもん のび太とブリキの迷宮 - Wikipedia

毎日が日曜日になった星「チャモチャ星」

物語の中盤、サピオが「チャモチャ星」について説明する場面があります。

チャモチャ星は地球よりも科学が進んだ星で、人々と生活をよくするため科学技術を飛躍的に進歩されていった。農業、工業、次第に人間が行なう作業の殆どが自動化され、人間は365日「毎日が日曜日」の世界を作り上げたのです。技術開発が進んだチャモチャ星では「イメコン」と呼ばれる人間の思った通りに動く機械が発明され、人間はソファーから1歩たりとも動かず、料理や炊事をロボット任せにする事ができるようになった。

しかし、1歩も動かない生活を送る人間の体は痩せ衰え、しだいに歩く事すら、汚れた外気を吸うことすら「車椅子」のような機械なしでは生活できなくなってしまうです。

ナポギストラー一世

元々は人間の生活を楽にするための発明家ロボット。だが内心ではひそかにロボットによるチャモチャ星征服をたくらんでおり、ひ弱となった人間相手に反乱を起こし、チャモチャ星を支配する独裁者となった。「イメコン」はそれを意図した発明。
ドラえもん のび太とブリキの迷宮 - Wikipedia

ただ面白いのは、チャモチャ星を支配する独裁者となったはいえ、ロボットたちは普通の日常をすごしているのです。人間が排除されロボットに置き換わっただけであって、ロボットが皇帝に支配される世界ではない。酒場でオイル(ロボットだけに・・)を飲み明かしたり、公園を散歩したり、人間が額に汗していた時代まんまの生活をしている。

排除された人間はというと、刑務所に送られ、ロボットから「エサ」と呼ばれる食事を与えられ、壊れたロボットかのように処分される日を待っているのです。人間相手に反乱・・まさに扱いが逆転ですね。

F先生の思い

よく、「働かざるもの食うべからず」という諺(?)があるけど、この映画のテーマってまさにコレだと思うんですよね。一般的に、この諺は(働かないんだったらご飯抜きだよ!)みたいな子供への罰の印象が強いけど、もっと過激に汲み取れば「働かない=食べられない=死ぬ」っていう事でもあると思うんです。

つまり、「働くこと=生きること」。

それを今回の「のび太のブリキの迷宮」ではロボットに置き換えられてるんじゃないかって思うんです。
よく子供の頃とか、ロボットのおもちゃで(ガシャン!ガシャン!ロケットパ〜ンチ♪)とか遊んだ記憶がありますけど、いざ部品が破損すれば用済み、即、不燃ごみ行きですよね。おもちゃに限らず、パソコンでもゲームでも動かなければポイ・・つまり食うと一緒、「動かない=働かない=ポイ(死)」です。

ブリキの迷宮で刑務所に送られた人間も、自ら働く行動を捨てた事によって「動かない=働かない=ポイ(死)」の対象になった。う〜ん、怖いです・・F先生の世界。自分はこの中に込めたF先生の思いって「働かなかったら生きる意味って何なんだろう?」っていう問いかけだったんじゃないかって。そして、F先生の答えは「死」だったんじゃないかって思うんです。

でも、そろそろ働きたいやつだけ働く、っていう社会ができてもいいんじゃないの?

というか、僕らは楽するために生産性を高めてきたんじゃないの?楽するためにさらに頑張るってどういうことよ。

どこまで技術革新が進んだら働かなくてすむのか

バカの壁」の次は「生きる壁」がベストセラーになったりしてね・・。(笑)

そうそう、この「のび太とブリキの迷宮」の主題歌はタレントの島崎和歌子さんが歌ってるんですけど、島崎和歌子さん、歌めちゃめちゃ上手いです。♪

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