中川(酒)に思った、頭の中のGoogleに「キーワード」を持っていたいと。

今、大前研一さんの「考える技術」という本を読んでいるのですが、その中に(報道を鵜呑みにしないための技術)的なお話が書かれています。もはや世界喜劇王(仮)と呼ぶべきなのか、「中川元財務相(酒)」の“はてなブ”や大手メディアの報道を見る際に参考になるのかなぁ?と思い、ここで引用させて頂きたいと思います。

イラクに派遣されている自衛隊多国籍軍に参加する問題について考えてみょう。

政府は「多国籍軍の指揮から独立して日本の指揮権が及ぶ」と言い、2004年6月16日、朝日、読売、毎日の3大新聞は、いずれも朝刊一面トップで「米英も了承」という見出しで報じた。

しかしちょっとでも論理的な思考が働けば、米英が了承するなどということがありえないとすぐにわかるはずだ。

考える技術

ジャーナリストに求められる基本中の基本は「5W1H」だが、これらの記事には、いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)言ったのか、まったく書かれていない。

政府の大本営発表をそのままトップ記事の見出しに刷り込んでいる。これは非常に恐ろしいことだ。(中略)

新聞やテレビの報道を簡単に信じては危険だ。とくに「5W1H」がないときは、よくよく注意しなくてはならない。

まぁですよ、中川大臣の泥酔会見については「5W1H」・・ばっちりありますよ。


いつ→G7の記者会見
どこで→ローマ
誰が→中川元財務大臣
何を→泥酔会見を
なぜ→美人記者と会食をしながら、“風邪薬”をしこたま飲んだから。


このように(↓)


自分がこの“泥酔会見”を始めて見た時は、「G7の会見でろれつが回らない中川大臣」というニュアンスでやや病気?的な報道だったと記憶しています。海外通信社からの情報だったそうですが、自分の中では記者を見つけられずに(どこだーー!)と叫んでいる辺りで、こりゃ酔っとりますね〜と、冷静に状況を分析しておりました。(笑)


その後は、皆様もご承知の通り。

asahi.com(朝日新聞社):中川財務相釈明「薬の飲みすぎ」 進退は「総理の判断」 - 政治
昼食で「少量のワインを口に」と認める…会見問題で中川氏 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
中川、辞任「私自身のケジメ」…予算案衆院通過後に 社会:ZAKZAK
朝は「続投」夕方に辞任…迷走・中川氏に大ブーイング : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

という具合に、二転三転した末の辞任というHAPPY ENDです。

大手メディアの報道を見ると

今回の件で、大手メディアはこぞって会見の模様を連日連夜報道しました。

それはそれは、辞任会見と泥酔会見の模様を交互に演出させて、頭が可笑しくなる位に何度も報道していました。

はてなブの記事を読むと

はてなブでは、木走日記さんの「「中川辞任劇」はマスメディアの自作自演 」、Chikirinの日記さんの「メディアの見識 中川さん問題に関して」など、それぞれが得意視点でエントリーを書かれていました。どちらかと言えば、メディア批判の記事が多かったのしれません。

自分はメディア系の仕事はしてないので、記者クラブの実態とかが書いてあると(だから、新聞はつまんないのか。)とか思います。それは読んで興味深いです。


でも今回の件で、中川元財務大臣が世界に醜態をさらした事の本質的な問題って何だろうって思うんです。

中川(酒)ニューヨークへ行く

今回の問題は海外メディアでも大きく取り上げられました。


中川財務相辞任騒動、の海外報道あれこれ(ネタ含む) - ひろの雑記帳 from KDU


世界の名だたる新聞に(写真付き+1面)で掲載されたのは日本人の恥だと思います。

もしも自分が海外に移住していて、ポストから取り出した新聞に載っていればショックを受けるでしょう。ただそれは(if)、海外に住んでたらのお話です。変なんですよね、日本の新聞って。「ニューヨークタイムズ」や「ワシントンポスト」が世界有数で影響力のある新聞といっても、読売や朝日の10分の1くらいの発行部数しかない地方紙です。

1位 読売新聞 発行部数:1406万7000部
2位 朝日新聞 発行部数: 1212万1000部
3位 毎日新聞 発行部数: 558万7000部
           ・
           ・
37位 ニューヨークタイムズ 発行部数: 112万1000部

世界の新聞 - Wikipedia


むしろ、世界一の発行部数を誇る日本の新聞やテレビで(日本の恥がニューヨークタイムズに載ったじゃないか!)と、泥酔会見の批判の矛先が海外メディアに掲載された事だとしたら、率直に悲しいし、よっぽど世界の笑い者だと思うんです。

批判なら誰にでもできます。今は昔と違って凡人でも自分メディアとして(=ブログ)というツールを使えば、世界中に情報が発信できる時代。海外の新聞を読んで批判するだけなら、英語が読めるブロガーなら誰々って出来るはずです。Google翻訳を使えば、自分にだって書けます。先日行われた、村上春樹さんのスピーチだってあっという間にブロガーが全文翻訳を公開して話題になりましたけど、現地に行かなくても出来る作業ならジャーナリストでなくとも、知識や能力のある一般人の方がよっぽど早くて完成度の高い記事を書いてくれます。

村上春樹さんのエルサレム賞受賞スピーチ(の草稿)の全文が『HAARETZ』紙に掲載されていますので、それを僕なりに訳してみました。

ある村上春樹ファンによる、エルサレム賞受賞スピーチ全文和訳 - 琥珀色の戯言


だから今の時代、ジャーナリストでなければ手に入らない新鮮な情報にこそ意味であると思いますし、それが無いのであれば、政治系ブロガーが「ロイター」や「時事通信」の1次情報から卓上で意見を述べているのと同じです。

考える力を奪う大手メディアの報道

テレビ各局の報道を見ていて、ちがう意味で恐怖を感じました。

あの頭がおかしくなる位のリピート回数は異常です。確かに、世界に笑いを提供した会見ですから1回や2回の繰り返しは許せますよ。でも「泥酔会見」と「辞任会見」を交互に演出して、各局のニュース番組が3回も4回も放送する姿って、異様ですし、それに至った経緯や原因の究明もせず、コメンテーターの方が(中川大臣は即刻!辞任すべきですね。)と言っている姿には、ある種、洗脳かと疑ってしまいます。


理想論で臭い台詞ですけど、「真実を客観的に報道するのがジャーナリズム」ではないんですか?


G7の中身をもろくに報道せず“辞任という結論”だけ強引に押し付ける報道姿勢というのは、ちょっと怖い。テレビで連日連夜(あのぉぉ〜オバマ政権が・・)という映像を放送してましたけど、肝心のG7の中身については殆ど触れてないのです。

G7の中身については、「関西ニュースアンカー」の青山さんが番組で言及されていました。(↓)

頭の中のGoogleに「キーワード」を持っていたい。

ネットは頭の中の検索窓に「キーワード」を入れて動かないと、反対意見に流されてしまう危険があると思うんです。政治にしたって、アニメ評にしたって、注目されるのはやや批判的なエントリーなんですよね。「麻生政権は退陣しろ!」「ジブリアニメの終焉」のように、人って(ツンデレ)じゃないけど、つんつんしたエントリーが好きなんですよ。

それに、マジョリティに属していた方が安心できるんですよね。はてなブで人気の記事を読めば、それなりの情報が手に入るという安心感はあります。でもそうやって受身で情報を仕入れてしまうと、どうしても意見が偏ってしまう危険があると思うんです。政治なら(マスゴミ批判)かもしれないし、(民主党批判)かもしれない。やっぱり、どこか自分の中で核となる「キーワード」にそって自力で、ときには土が踏み固められてない道を進んでいかないと、情報に流されてしまう。結局は、テレビを見ていた頃と何ら変わらなくなってしまうと思うんです。

Googleの何ページから情報を探すのか、それも含めて“FREE”な時代?なのかもしれません。(笑)