ぼく、ドラえもん学のなんなのさ。 〜野良ネコ+アイディア考え機械+ポロンちゃん=ドラえもん?〜

本の冒頭からドラえもん愛を感じさせる言葉・・。

私は「マンガ学」の専門家ではないので、マンガ世界の現状を大きな視点から語ることもできなければ、絵のタッチやコマ割りなどマンガの技術について語る自信もない。

ただ不覚にも(?)齢50を過ぎて、ドラえもんをだれよりもこよなく愛してしまった・・・

(P5)

50歳を超えたおっさんが新書でドラえもんを語る。学問というお堅いタイトルを付けてしまったがために(編集の都合でしょうね)、読者の方から「学問になってない!」「本から引用部分を除いたら何P残るのか?」という反応が飛び交ってますけど、若者や子供ではなく、50代のおっさんが大真面目にドラえもんを新書1冊にまとめて語る・・。

(※ドラえもんに興味が無い人にとっては、退屈この上ない本ですね。)

おっしゃる通り、本から引用部分を抜いたら10ページにも満たない内容です。
ドラえもん学」というほど学問ではないし、読者が頷くような新しい視点でのドラえもんが語られてる訳でもない。
でも別に、それはそれでも良い。雑誌からの切り張りだって、1冊にまめたら面白いって思うんです。
だってね、200P近い新書本がドラえもん1作品で埋まってるんですよww (どれだけ深いの、ドラえもん?)


ドラえもんの誕生秘話

当時、コロコロコミックの(藤子不二雄の新連載!)と銘打たれた異例の予告からスタートした少年漫画。夢いっぱいの想像とは裏腹に、やっつけ仕事で生まれた(?)ドラえもんの以外な誕生秘話が紹介されています。

小学館発行の学年誌「小学四年生」の1969年12月号に、なんとも奇妙な予告編が登場した。
そこには、「ウメ星デンカにつづいて藤子先生がおくる、ゆかいまんが正月号かられんらい」と銘打たれ、机の引き出しが「出た!」という吹き出しとともにページ中央に大きく描かれている。傍らには、「つくえの中から飛び出した。何が?その名は?正体は?」という説明書き。さらに、のび太が両手を大きく広げ、大声を上げながら逃げるシーンが添えられている丸

そして、「すごーくおもしろいんだ!すごーくゆかいなんだ!でも、どんなお話かは、正月号でのお楽しみ!」と結ばれていた。(中略)

だいだい、先月号にこんな無責任な予告をのせたのが悪かった。そう!あの予告はまずかった。主人公をかいていない予告なんて今まであっただろうか。まずなかっただろうね」。(中略)

藤子弘先生と我孫子素雄先生の暴露的な会話が当時のドタバタぶりを私たちに垣間見せてくれる。(P17)

「なにがなんでも夕方までにはアイディアをまとめよう。6時から下絵にかかったとして、15ページだから・・、あさってにはわたせるな」

スタジオゼロに陣取る藤本先生は、当初、楽観視していた。ところが、「夜10時になっても、まだまとまらない」事態に焦ったのか、川崎市生田にある自宅に場所を移して再度、案を練ることに。自宅の仕事部屋で考えをめぐらすも、「からまわりばっかりで、ちっとも前に進まない」。(中略)

昔もいまも、アイディアを考える過程にまるで進歩のない自分を顧みて、「案を考える機械かなんか発明されるといいのにな・・アイディア考え機」なとどぼんやり夢想する。(中略)

「けっきょくひらめきなんだよな。アイディアってのは。ほんのちょっとしたきっかけで・・、一つの作品にまとまるんだ」なんだか悟ったように納得した藤本先生は睡魔に襲われて、ついにグッスリ眠ってしまった。(中略)

わしゃ、破滅じゃ!」と慌てふためき、階段を「ドダドダドタ」と駆け下りる。
廊下で、娘の可愛がっていた「ポロン」という人形につまずいて「ドッタン」と転んでしまい、「パパ!ポロンちゃんをけとばしちゃだめっ」と叱られる。あたりで響く「ポロンポロン」というメロディー・・。

それが合図だった。藤本先生の頭のなかで、昨夜の野良ネコとポロンちゃんがカチャカチャし結びつく。「ドラえもん」の誕生である。「アイディア考え機」などの便利な道具を四次元ポケットから取り出して、「頭の悪いぐうたらな男の子」を助けてくれる主人公。いうまでもなく、「のび太」はかぎりなく自画像に近い。

こうしてドラえもんの構図はできあがった。
藤本先生は奥さんとお嬢さん二人に見送られて、翌朝に締め切りの迫ったマンガを描くために、元気いっぱい「行ってきまあす」と手を振りながら家を出たのであった。(P19)

ドラえもんは生まれるべくして生まれた。この話を聞くとなんだかそんな気がしますよね。ただドラえもんが元々、コロコロコミックの新連載でかなりのやっつけ仕事(?)だったいうのも、何だか不思議なようで、驚きを感じる話だったりします。題名も内容も決まっていなかった予告編から40年周年・・・

ドラえもんがこれだけ国民的キャラクターになって、誰からも愛される存在になっている。ドラえもんが愛される理由、それはあの無責任な予告編に書かれていた言葉、「すごーくおもしろいんだ!すごーくゆかいなんだ!」だったりするのかもしれませんね。(笑)

(※映画版の「2112年ドラえもん誕生」では、藤子先生が実際の3倍くらいカッコよく描かれてますww)


わさドラへのエール


9割近くが引用でまとめられた本ですが、横山さん自身の言葉で(わさドラ)について言及している箇所があります。

2代目になる声優さんたちは、先代があまりにも偉大な存在だったため、しばらく厳しい評価を受けるだろう。「イメージが違う!」という予想される視聴者の声に押しつぶされることないで、それぞれの主人公の新しいカラーを出してもらいたいと私は思ってる。すばらしいチームワークは受け継ぐにしても、先代の亜流に流れることなく、時間をかけて、先代とは異なる新しいドラえもん像を打ち立てればいい。(P96)

わさドラ版のドラえもんになっても、子供の頃から慣れ親しんだ(大山のぶ代さん)の声を思い出す瞬間ってやっぱりある。水田わさびさんの「コンニチハ、ぼくドラえもんです♪」という声を聴いて、(あれっ、何か違うぞ!)って未だに戸惑う瞬間が時たまあります。わさドラに100%満足かと聞かれれば、答えはNO!でも、まだ交代から4年・・・

どっかに期待を持ち続けて、毎週、ビテオに録画して観ている自分が居たりします。^−^
新・のび太の宇宙開拓史のレビューに「ゲスト声優が下手くそ!」と書かれるのはファンとして言葉に詰まるけど・・

この本、読み終わっておもしろいとは感じなかったです。
うーん、でもコレコレはこれで有りなんじゃないかって思うんですよ。(by どっちつかず委員会

ドラえもん学 (PHP新書)
横山 泰行
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5 愛のこもった一冊
2 羊頭狗肉
2 期待外れ
1 この著者はただのドラえもんファン。
2 浅い・・・